病気休職と自然退職・解雇

2014-03-07

病気休業中の労働契約の取り扱いについて教えて下さい。

例えばうつ病等にかかり、仕事に行けなくなった場合、多くの会社では、就業規則の定めに従い病気休職とされます。

病気休業制度は、解雇を猶予する目的の制度であり、多くの会社が解雇をする前に一度休職の措置をとります。

そして、この休職期間中は、ノーワーク・ノーペイの原則どおり、無給になります。

なお、健康保険に加入する事業所であれば、健康保険法上の制度として、傷病手当金という制度があり、健康保険加入中に私病による休職を余儀なくされた場合は、標準報酬額の3分の2の支払を受けられます。

問題は休職期間が満了した後のことです。

この休職中に病気が治癒すれば良いのですが、治癒しない場合には、自然退職となるか会社から解雇されてしまいます。

そして、ここにおける「治癒」とは、従前の職務を通常の程度に行える健康状態に復したことを意味すると考えるのが原則です(使用者が休職者の治癒を認定するについて、就業規則上、会社の産業医の診断を受けることを要求することができる旨を規定する事例が多いです)。

もっとも、特定の職種や業務内容を限定していない事例については、現に就業を命じられた特定の業務について労務の提供が十全にはできないとしても、その能力、経験、地位、当該企業の規模、業種、当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして同人が配置される現実的可能性があると認められる他の業務が他にあったか否かを検討すべきであるというされております。

つまり、労働者の病気について、使用者に一定の配慮をする義務を課すという判断をしているのです。

以上のような判断枠組みに従い、治癒したと認められる場合は、自然退職ないし解雇は無効である一方、治癒したと認められない場合には、自然退職ないし解雇となり、その判断は有効とされます。

 

 

 

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