Archive for the ‘離婚問題’ Category
離婚届に署名したけど後悔している
【彦根市の弁護士によるコラム】
滋賀県弁護士会所属の弁護士の石田拓也です。当事務所は、滋賀県彦根市に所在する「弁護士を身近に」を理念とした地域密着型の法律事務所です。
まずは、本ページをご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、以下の問題につき、ご説明させていただきます。
【質問】夫婦喧嘩をしたときに、ついカッとなって離婚届にサインをしてしまいました。妻はその用紙をどこかにしまっています。どうすれば良いでしょうか。
夫婦喧嘩の際にカッなって離婚届けにサインしてしまって後から気が変わったという事例は稀にあります。
このような場合、直ぐに本籍地の役場に離婚届の不受理の申出(不受理届)をして下さい。
そうすることで、離婚届は受理されません。この不受理届の用紙はどこの役場にもありますので、それをもらって直ちに提出して下さい。
なお、あなたの妻が既に離婚届を提出してしまっていた場合、この離婚届は無効です。
離婚するという意思は離婚届け提出時点で必要ですので、この離婚届は無効となるのです。
そのため、このような場合には離婚無効の調停等を提起することになります。
不倫・別居後の婚姻費用分担の請求
【彦根市の弁護士によるコラム】
滋賀県弁護士会所属の弁護士の石田拓也です。当事務所は、滋賀県彦根市に所在する「弁護士を身近に」を理念とした地域密着型の法律事務所です。
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今回は、以下の問題につき、ご説明させていただきます。
【質問】不倫・浮気をして家を勝手に出た配偶者(妻・夫)から婚姻費用の分担を求められています。配偶者よりも収入が高い私には、婚姻費用を支払う義務があるのでしょうか。
原則としては、別居中でも婚姻費用(生活費)の分担義務があります。
そのため、別居したとしても、毎月の生活費を支払う義務があります。
しかし、上記のようなケースでは、常識的に考えて婚姻費用全額を支払うことはためらわれるでしょう。
そこで、実務においても、婚姻費用の分担を請求する側に専ら別居原因(有責性)がある場合には、婚姻費用が減額されるケースが多くなっております。具体的には、子供がいる場合には、その養育費相当に限定されることになろうかと考えられます。
もっとも、上記の有責性の認定は容易ではありませんので、詳しくはお気軽にご相談下さい。
不倫をした配偶者からの離婚請求
【彦根市の弁護士によるコラム】
滋賀県弁護士会所属の弁護士の石田拓也です。当事務所は、滋賀県彦根市に所在する「弁護士を身近に」を理念とした地域密着型の法律事務所です。
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今回は、以下の問題につき、ご説明させていただきます。
【質問】夫が若い愛人と不倫して離婚を要求しています・妻が職場の同僚と不倫して離婚を求めてきます…どうすればいいのでしょう
裁判所はこのような離婚の請求を、社会正義に反するためそう簡単には認容しません。
そのため、離婚を求められてもこちらに離婚意思が無ければ離婚に応じる必要はありません。
もっとも、常に裁判所が上記のような判断をするかというと、そうではなく、
例外的に、別居の期間、未成熟の子の有無、経済的な状況などを総合考慮して判断し、社会正義に反するとまでは言えないと認められた場合には、離婚の請求が認められることがあります。
有責配偶者からの離婚の要求が認められるか否かは専門的な知識等がなければ適切に判断出来ないものですので、例えば、不倫をしている配偶者から離婚を求められた場合には、まずは弁護士にご相談されるのが良いでしょう。
住宅ローンと財産分与
【彦根市の弁護士によるコラム】
滋賀県弁護士会所属の弁護士の石田拓也です。当事務所は、滋賀県彦根市に所在する「弁護士を身近に」を理念とした地域密着型の法律事務所です。
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今回は、以下の問題につき、ご説明させていただきます。
【質問】住宅ローンが残っているのですが、財産分与に当たって、このローンの清算はどのようにすればいいのでしょうか。
財産分与で住宅ローン付きの住宅をどのように清算するかは実務上も問題になることが多いですね。
まず、住宅を売却するのではなく、夫婦の片方が住宅に居住する必要がある場合は、住宅の所有者をどちらにするかが問題となります。
住宅の所有権を取得したほうがローン支払い名義人である場合は、そのまま名義人が支払い続けることでよいですが、名義人でない者が住宅を取得する場合には、金融機関と相談して債務者を取得者に変更してもらうか、債務者をそのままにして従来どおり名義人が払い続けるかを決めなければなりません。
但し、金融機関は簡単には債務者の変更(更改契約)には応じてくれません。金融機関からすれば、誰が債務者であるかは重大事項であるため、資力に不安のある者に名義変更することを躊躇うからです。
ですので、名義人が払い続けることとして、その支払額に相当する金額(いわば賃料)を、取得者から名義人に(公正証書で)支払約束することによって、双方の利害を調整することが妥当でしょう。
性格の不一致と離婚
夫と結婚して3年目になりますが、性格が合わず、毎日喧嘩ばかりです。別居して半年が経過しましたが、離婚出来ますか。
離婚事由の中で最も多いのが、性格の不一致です。
協議離婚のケースはほとんどがこの性格の不一致で占められているといっても過言ではないでしょう。
もっとも、裁判離婚となると、性格が合わないから直ぐに離婚できるかというと、答えは「NO」です。
裁判で離婚が認められるのは、婚姻を継続しがたい重大な事由がある場合だけです。
元々育った環境も価値観も違う男女が生涯を共にするのが民法の定める「婚姻」ですので、多少の性格の不一致は法が当初から予定しているものといっても良いでしょう。
ですので、性格の不一致が直ちに裁判上の離婚事由に当たるわけではないのです。
もっとも、性格の不一致が常に裁判上の離婚事由にならないわけではありません。一定の場合には、性格の不一致が裁判上の離婚事由になります。
その際、重要なのが別居期間です。
別居期間が4年から7年程度継続すると、性格の不一致も裁判上の離婚事由となり得ます。
今回は、結婚3年目で、別居も半年ということなので裁判離婚はなかなか認められないでしょう。
協議離婚や調停離婚を試みるしかないと思われます。
未成年後見人と養子縁組
未成年後見人と養子の違いについて教えて下さい。
1 未成年後見人について
未成年後見人は、未成年者に関する法律行為について、全般的に代理する権限を持っており、未成年者の心身の状態や生活の状況に十分配慮しながら、未成年者のために財産を管理したり、身上監護についての様々な行為をすることになります。
未成年後見人の仕事は、未成年者が成人に達したり、婚姻や養子縁組をするまで続きますので、申立てのきっかけとなった当初の目的(例えば、保険金の受領や遺産分割など)だけをすればよいというものではありません。
未成年後見人の最初の仕事は、未成年者の資産(不動産、預貯金、現金、株式、保険金等)、収入(遺族年金、給料等)、負債としてどのようなものがあるかを調査し、財産目録及び未成年者の年間収支予定表を作成して、後見人選任後1か月以内に家庭裁判所又は後見監督人に提出することです。
未成年後見人を辞任するには、家庭裁判所の許可が必要となり、それも正当な事由がある場合に限られます。
未成年後見人が辞任した場合には、速やかに次の後見人を選ばなければなりません。
未成年後見人は、未成年者のために財産を適切に維持し管理する義務がありますので、たとえ未成年者と未成年後見人が親族関係にある場合でも、あくまで「他人の財産を預かって管理している」ということになります。
故に、未成年後見人が未成年者の財産を投機的に運用することや、自らのために使用すること、親族などに贈与・貸付けをすることなどは、原則として認められず、これらの行為は場合によっては業務上横領罪等を構成する可能性もあります。
また、未成年後見人が、家庭裁判所の許可なしに未成年者の財産から報酬を受けることは認められていませんので、未成年後見人としての報酬を求めるときは、家庭裁判所への申立てが必要です。
2 養親について
他方、養親になるということは、身分上親子になるということですから、養親は自分の財産を使って(未成熟の)養子を養育する義務があります
そして、未成年者を養子とする場合は、養親が婚姻中である場合は、配偶者がその意思を表示することができない場合を除き、夫婦が共に養親にならなければならず(民法795条) 家庭裁判所の許可も必要となります(民法798条)
また、 一度養子縁組をすると、養親及び養子双方で合意して作成する「養子離縁届」を提出するまで養親子関係が継続し、 一方の意に反して離縁するには、民法814条1項の事由がある場合に「離縁の訴え」で勝訴判決を得る等しないと離縁出来ません (一方が死亡した後は、家庭裁判所の許可を得れば死後離縁が出来ます。〔民法811条6項〕) 。
なお、養子が15歳未満である場合に協議離縁するには、家庭裁判所に養子離縁後に子の未成年後見人となるべき者を選任してもらった上で、その人との間で養子離縁届を作成し、役場へ提出します。
婚姻関係の破綻の抗弁〜不倫慰謝料〜
婚姻関係破綻の抗弁について教えて下さい。
不倫ないし不貞行為により離婚となり、慰謝料の請求をする場合に必ず問題になるのは、婚姻関係破綻の抗弁です。
不倫開始時点においては、既に夫婦関係が破綻していたので、慰謝料請求は認められない、というものです。
しかし、この抗弁はなかなか認められないのが現実です。とりわけ、同居中であれば、この抗弁で勝訴することは相当困難です。
性生活がなくとも、旅行に行っていた事実、運動会等の行事に一緒に参加していた事実、食事を共にとっていた事実等があると、外形上は平穏な家族であり、婚姻関係が破綻していたとは言えないとする裁判例が多いです。
もっとも、別居中であれば、話は別で、離婚を前提とした別居が継続していれば、比較的婚姻関係破綻の抗弁は認められます。ケース・バイ・ケースではありますが、離婚自体はお互い承認し、離婚の条件を出し合っている状況である場合などは、婚姻関係は既に破綻していると判断して良いケースが多いと思われます。
DVと離婚
離婚原因や慰謝料の発生事由にもなる、DVの種類について教えて下さい。
DVとは身体的に受ける暴力だけではなく、精神的、経済的、性的なさまざまな暴力をもすべてを含むとても広い概念です。
ここでは、以下の代表的な4つのDVについて説明します。
一つめは「身体的暴力」です。
殴る、蹴る、つねる等など、加害者が被害者に一方的に行う暴力ことです。
二つめは「精神的暴力」です。
大声で怒鳴る、無視する、人格を否定するような発言をする等など、被害者にストレスがかかるようなことを繰り返し、精神的に追い込む暴力のことです。
三つめは「経済的暴力」です。
生活費を渡さない、酒やギャンブルに生活費をつぎ込む、仕事を制限する等など経済的に自由を許さない暴力のことです。
最後は「社会的隔離」です。
携帯電話やパソコンの所有を拒否する、外出先や電話の相手をこと細かくチェックする、交友関係を細かく管理するなど社会から被害者を隔離しようする行為の暴力のことです。
以上のように、とても多義的なDVですが、その被害者は年々増加傾向にあると言われています。
この問題が厄介なのは、相手がそのような行為に至るのは愛情の現れで「自分が悪いからだ」と思ってしまう被害者がとても多いという点にあります。
そのため、長年DVの被害に遭っていながら、なかなか自分が被害者であることに気付かない方がとても多いのです。
DVを愛情と勘違いするのは大きな間違いです。
配偶者やパートナーからの行為が少し変だなと感じたら、迷わず、専門家などに相談することをおすすめします。
場合によっては、離婚事由や慰謝料の発生事由を構成している場合も多いです。
財産分与と退職金
退職金も財産分与の対象になりますか。
退職金には、給与の後払い的な性質がありますので、退職金も給与と同様に財産分与の対象になりえます。
したがって、退職金がすでに支払われている場合には、退職金が財産分与の対象になることは争いがありません。
この場合、配偶者が退職金の形成にどれだけ貢献をしているのか(寄与期間割合)を算定し、財産分与の額を計算することになります。
具体的には、退職金の金額×同居期間÷勤続年数×寄与割合、という計算式によることが多いでしょう。
では、退職前の場合はどうでしょうか。
そもそも、退職金が実際に支払われるのは退職のときであり、会社の経営状態や退職理由によっては支払がされない可能性もあり、確実に支払われるわけではありません。また、その金額も退職するまでは確定出来ません。
そのため、退職が何十年も先であるというケースでは、一律に退職金を財産分与の対象としてしまうのは不都合です。
したがって、退職金を財産分与の対象とするためには、退職金の支給が確実であると見込まれること、つまり、退職金支払いの蓋然性があることが必要とされています。
この退職金支払いの蓋然性の判断は容易ではなく、一律に決することは出来ませんが、中小企業であれば退職が2年以内であることが目安とされています。
公務員の場合は、倒産の危険やリストラの可能性も低いので、ある程度退職が先でも蓋然性ありと判断される傾向にあります(地方公務員の場合で、13年後の定年退職金を認めた裁判例もあります)。
大企業の場合は、ケース・バイ・ケースという他はありません。
財産分与の基礎となる退職金の額を決定するには、離婚時(別居時)に会社を辞めたらもらえる分を仮定的に計算し、その金額を分割するという考え方が主流でしょう。
この場合、『退職金相当額』に対する分与額を算定する計算式は、離婚時(または別居時)の予定退職金額×同居期間÷在職期間×寄与割合となります。
財産分与と負債
夫と離婚しようと思いますが、夫には住宅ローンが3000万円(住宅の時価は2500万円)あり、預金は100万円程度しかありません。私には財産は一切ありません。この場合、財産分与をすればどのようになるのですか。
今回のケースですと、住宅が500万円のオーバーローンとなっていますので、仮に住宅を売却したとしても、500万円の負債が残ります。そして、夫には預金が100万円しかないので、夫はトータルで400万円の負債を抱えるということになります。今回のように総財産を清算しても負債しか残らない場合どのように財産分与を処理するかについては、諸説あり、裁判例も分かれています。
第1説は、預金100万円だけを財産分与し、住宅については負債も含めて財産分与では一切考慮しないという見解です。
第2説は、オーバーローンにかかる負債を他の財産と通算し、その残額を財産分与とするというもので、オーバーローンの住宅も財産分与に当たって考慮するというものです。
現在では、第2説が主流でありますが、通算の結果、負債の方が多い場合にどのように処理すべきかについては、第2説の中でも争いがあります。
第2−1説は、負債しか残らない場合、負債の名義人は配偶者に負債の分担を請求出来るとする見解です。
第2−2説は、負債しか残らない場合には、負債の名義人は配偶者に負債の分担を請求出来ないとする見解です。
この点については、第2−1説も有力ではありますが、現在では第2−2説が主流のようです(個人的には、負債も公平に按分すべきであるとする第2−1説の方が実態に合致していると思いますが)。
この第2−2説からすると、夫がトータルで400万円の負債を抱える代わりに、負債については一切負担の要求が出来ないということになります(妻も何ら財産分与を請求出来ません)。
もっとも、調停の段階では話合いによる弾力的な解決が可能ですので、夫の収入や、妻の収入等に照らして妥当な解決が可能です。
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