むち打ちと後遺障害等級14級9号
交通事故で、むち打ち症(頚椎捻挫・腰椎捻挫など)によって後遺障害等級14級9号(「局部に神経症状を残すもの」)に認定される場合はどのような場合ですか?
交通事故で、むち打ち症(頚椎捻挫・腰椎捻挫など)によって後遺障害等級14級9号に認定される場合とそうでない場合についてお話ししたいと思います。
もちろん、絶対的な基準はございませんが、当事務所の多数の経験から、その傾向を読み取ることは可能ですので、以下、ご説明させていただきます。
①事故の状況
事故時の衝撃の程度はとても重要な基準になります。
後遺障害が認定されている方の多くは、ある程度高速度での追突や出会い頭事故等の被害者の方となっております。
極めて低速度同士の車両による交通事故では、症状が残っていたとしても、後遺障害が認定されない結果になることが多いです。
②6ヶ月以上の通院
通院開始時期と通院期間も極めて重要な判断要素です。
後遺障害が認定されている方の多くは、事故の直後から継続して6ヶ月程度(またはそれ以上の期間)、整形外科に通院を継続しておられます。
③症状が一貫して継続していること
事故の直後から症状が固定するまでの間、同じ部位の同じ症状が続いていることも重要です。「日によってはほとんど痛みがないが天候が悪いと痛む」といった程度では、非該当になる可能性が高まります。
④自覚症状がある程度ひどいこと
「なんとなく少し違和感がある」という場合には、非該当になりやすく、他方で、強い疼痛や痺れがある場合や、トリガーポイント注射を打っている程、痛みが強い場合には、認定がされやすい傾向に傾きます。
⑤神経学的所見の有無
頸椎捻挫:スパーリングテスト・ジャクソンテスト
腰椎捻挫:SLRテスト・ラセーグテストといったテストの結果が陽性であれば、認定されやすい方向に傾きます。
⑥まとめ
以上の通りですが、当職の経験からすると、圧倒的に重要なポイントは、①事故の状況と②事故の直後から整形外科に通院を6ヶ月以上継続していることだと思われます。この基準をクリアしていないと他の基準をクリアしていても、14級9号の認定は難しいと考えられます。
【彦根市の法律事務所・石田法律事務所/弁護士・石田拓也】