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 強制執行の流れ

2014-02-20

強制執行について教えて下さい。

 

民事執行手続とは、債権者の申立てによって、債務者)の財産を差し押えて換価、債権者に分配する(配当)などして、債権者に債権を回収させる手続です。

民事執行手続には、強制執行手続担保権の実行手続などがあります。

 (1) 強制執行手続と担保権の実行手続

強制執行手続

強制執行手続は、判決などの債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて、相手方(債務者)に対する請求権を、裁判所が強制的に実現する手続です。

担保権の実行手続

担保権の実行手続は、債権者が債務者の財産について抵当権などの担保権を有しているときに、これを実行して当該財産から満足を得る手続です。この場合、判決などの債務名義は不要であり、担保権が登記されている登記簿謄本などが提出されれば、裁判所は手続を開始することとなります。

なお、担保権の実行手続も、強制執行手続と比較すると、債務名義を必要とするか否かの違いはありますが、それ以外の手続はほぼ同じです。

(2) 不動産執行手続と債権執行手続

不動産執行手続(以下は平成17年4月1日からの手続です。)

(ア) 申立て

不動産執行の申立ては、書面で行います。

管轄は、目的不動産の所在地を管轄する地方裁判所(支部を含む。)です。

 (イ) 開始決定・差押え

申立後、裁判所は、不動産執行を始める旨及び目的不動産を差し押さえる旨を宣言する開始決定を行います。

開始決定がされると、裁判所書記官が、管轄法務局に対して目的不動産の登記簿に「差押」の登記をするように嘱託をし、また、債務者及び所有者に開始決定正本を送達します。

(ウ) 売却の準備

裁判所は、執行官や評価人に調査を命じ、目的不動産について詳細な調査を行い、買受希望者に閲覧してもらうための三点セットを作成します。

また、裁判所は、評価人の評価に基づいて売却基準価額(従来の最低売却価額に相当するもの)を定めます。

売却基準価額は、不動産の売却の基準となるべき価額です。入札は、売却基準価額から、その10分の2に相当する額を差し引いた価額(買受可能価額)以上の金額でしなければなりません(後述(オ)参照)。

(エ) 売却実施

売却の準備が終わると、裁判所書記官は、売却の日時、場所のほか、売却の方法を定めます。

第1回目の売却方法としては、定められた期間内に入札をする期間入札が行われています。

売却の情報を広く提供するため、大多数の地方裁判所では日刊新聞や住宅情報誌などに広告を出しています。

また、ファクシミリサービスやインターネット上の不動産競売物件情報サイトBIT等でも売却物件の情報を提供しています。

買受けを希望する方は、広告などで興味のある物件を見つけたら、裁判所の閲覧室やBITで三点セットの閲覧をします。

三点セットとは、土地の現況地目、建物の種類・構造など、不動産の現在の状況のほか、不動産を占有している者やその者が占有する権原を有しているかどうかなどが記載され、不動産の写真などが添付された現況調査報告書、競売物件の周辺の環境や評価額が記載され、不動産の図面などが添付された評価書、そのまま引き継がなければならない賃借権などの権利があるかどうか、土地又は建物だけを買い受けた時に建物のために底地を使用する権利が成立するかどうかなどが記載された物件明細書のそれぞれの写しのことをいいます。

競売物件の買受けのための重要な内容が記載されていますから、その内容をよく理解して吟味する必要があります。

さらに、現地で不動産を、法務局で権利関係を確かめるなど、必ず十分な調査、確認をするようにしてください(不動産によっては、内覧(見学)が実施されることがあります。)。

(オ) 入札から所有権移転まで

入札は、公告書に記載されている保証金を納付し、売却基準価額から、その10分の2に相当する額を差し引いた価額(買受可能価額)以上の金額でしなければなりません(前述(ウ)参照)。

最高価で落札し、売却許可がされた買受人は、裁判所が通知する期限までに、入札金額から保証金額を引いた代金を納付します。

所有権移転などの登記の手続は裁判所が行いますが、手続に要する登録免許税などの費用は入札者の負担となります。

(カ) 不動産の引渡し

引き続いて居住する権利を有する人が住んでいる場合には、すぐに引き渡してもらうことはできませんので、こうした権利を主張することができない人が居住している場合には、この人に明渡しを求めることができます。

この求めに応じないとしても、代金を納付してから6か月※以内であれば、裁判所に申し立てて、明渡しを命じる引渡命令を出してもらうことができます。

この引渡命令があれば、執行官に対し強制的な明渡しの手続をとるように申し立てることもできます。

※ 買受けの時に民法395条1項に規定する建物使用者が占有していた建物の買受人にあっては9か月

(キ) 配当

裁判所が、差押債権者や配当の要求をした他の債権者に対し、法律上優先する債権の順番に従って売却代金を配る手続です。

原則として、抵当権を有している債権と、債務名義しか有していない債権とでは、抵当権を有している債権が優先します。

また、抵当権を有している債権の間では、抵当権が設定された日の順に優先し、債務名義しか有していない債権の間では、優先関係はなく、平等に扱われます。

債権執行手続

債権者が、債務者の勤務する会社を第三債務者として給料を差し押さえたり、債務者の預金のある銀行を第三債務者として銀行預金を差し押さえ、それを直接取り立てることにより、債権の回収をはかる手続です。

(ア) 申立て

管轄は、債務者の住所地を管轄する地方裁判所(支部を含む。)ですが、債務者の住所地が分からないときは、差し押さえたい債権の住所地(例えば給料を差し押さえる場合は債務者の勤務先、銀行預金を差し押さえる場合はその銀行の所在地を管轄する地方裁判所(支部を含む。)となります。

なお、差押えの対象となる債権が現実に存在するかどうか、存在するとしてその程度を知りたい場合には、陳述催告の申立て(第三債務者に対して、差押債権の有無などにつき回答を求める申立て)をすることができます。

(イ) 差押命令

裁判所は、債権差押命令申立てに理由があると認めるときは、差押命令を発し、債務者と第三債務者に送達します。

なお、差押命令は第三債務者、債務者の順に送達されます。

差押の効力は、第三債務者に送達された時点で生じます。

(ウ) 差押え

例えば給料差押えの場合、原則として相手方の給料の4分の1(月給で44万円を超える場合には、33万円を除いた金額)※を差し押さえることができます。

ただし、相手方が既に退職している場合などには、差押えはできません。

※ 養育料等を請求する場合の特則があります。

(エ) 取立て(又は配当)

債権差押命令が債務者に送達された日から1週間を経過したときは、債権者はその債権を自ら取り立てることができます(ただし、第三債務者が供託をした場合は、裁判所が配当を行うので、直接取り立てることはできません。)。

第三債務者から支払を受けたときには、直ちにその旨を裁判所に届け出てください。

※ 簡易裁判所の少額訴訟手続で債務名義(少額訴訟判決等)を得たときに限り、地方裁判所以外に、その簡易裁判所においても金銭債権(給料、預金等)に対する強制執行(少額訴訟債権執行)を申し立てることができます。少額訴訟債権執行の基本的な手続の流れは、上記と同様です。

 

 

 

 養育費の強制執行

2014-02-01

夫と調停離婚が成立し、毎月4万円の養育費を支払ってもらえることとなりました。ところが、夫は第2回目の支払いから現在まで合計7回の養育費を支払ってくれません。どうすれば良いでしょうか。

 

養育費の不払いはとても多く、実務上も問題になることが多いですね。

通常このような場合には、夫の給与を差し押さえすることで養育費の支払を確保します。

今回のケースでは、滞納分の28万円と将来に渡る養育費(この将来分については平成15年民事執行法改正により可能となりました)について、給与債権の差し押さえが可能です。

また、通常の債権とは異なり、養育費の差し押えができる範囲は、毎月の給料の2分の1までです。

ですので、今回のケースであれば、調停における債務名義を基にして元夫の給与債権を差し押さえることで養育費の履行を確保することになります。

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