物損事故の登録手続き費用

2022-04-07

【彦根市の弁護士によるコラム】

滋賀県弁護士会所属の弁護士の石田拓也です。当事務所は、滋賀県彦根市に所在する「弁護士を身近に」を理念とした地域密着型の法律事務所です。

まずは、本ページをご覧いただき、ありがとうございます。

今回は、以下の問題につき、ご説明させていただきます。

【質問】物損事故の場合、登録手続き費用も損害として認められると聞きましたが、登録手続き費用として、どこまでが損害として認められるのですか。

□  一般論

被害車両が全損の場合、買い替えが必要となりますので、そのために通常必要とされる費用は事故と相当因果関係があり損害として認められます(東京地判平8・6・19交民29・3・903)。

また、全損によって、新たに同種同等の車両を購入する場合、それに伴って支出を余儀なくされる買換え諸費用は、車両の取得行為に付随して通常必要とされる費用の範囲内で損害として認められます(東京地判平13・12・26交民34・6・1687)
そのため、破損した車両の時価額(+消費税)に加え、以下の費用も損害として請求可能です。ただし、以下の通り、限定的に認定されるもの、全く認定されないものもございます。

□  費用として認められるもの

・  自動車登録番号変更費用

・  車庫証明費用

・  登録預り法定費用

・  車庫証明預り法定費用

・  納車費用

・  検査登録手続代行費用

・  車庫証明手続代行費用

・  検査登録費用

・  車庫証明

□  費用として限定的に認められるもの

・  自動車取得税

被害車両と同車種、同型式の車両を再調達価格で調達した場合における自動車取得税相当額は認められます(東京地判平13・12・26)。
被害車両と同等の中古車を取得する際に要するであろう自動車取得税の限度で損害と認められます(大阪地判平13・12・19交民34・6・1642)。
自動車取得税とは、三輪以上の軽自動車及び小型自動車と、普通自動車の取得(特殊自動車は除く)に対して課する都道府県税で、その自動車の主たる定居場所在の都道府県で課税されるものです。

・  自動車重量税

事故時における自動車検査証の有効期限の未経過分に相当する金額も損害として認められます(大阪地判平13・12・19)。ただし、「使用済自動車の再資源化等に関する法律」により適正に解体され、永久抹消登録されて還付された分を除くものとされております。
自動車重量税とは、車検などの際に自動車の重量等に応じて課税される国税のことです。

□  費用として認められないもの

・  自動車税

自動車税とは、自動車の所有に対して課税される都道府県税で、自動車の主たる定居場所在の都道府県において課税されます。
対象となる自動車は、道路運送車両法の適用をうける自動車のうち普通自動車と三輪以上の小型自動車であり、税率は車種や用途などによって異なります。
事故車両の自動車検査証有効期限の未経過分に相当する自動車税について、還付制度があるため損害として認めないとされました。

・  自賠責保険

同様に、事故車両の自動車検査証有効期間の未経過分に相当する自賠責保険について、還付制度があるため損害として認めないとされています。

 

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