不動産明け渡し

2014-05-11

借主がちゃんと家賃を払ってくれない、 借主以外の人が住んでいるようだ 、できれば早急に出て行ってもらいたい 。このような場合についての法的措置についてご説明致します。

1 家賃滞納の場合の法的措置(強制執行まで)

(1) 物件の現地調査

まずは現状把握するにあたり、相談者様から話を聞き、登記簿をチェックし、必要に応じて現地に赴き、現況を調査します。

(2)内容証明による催告・交渉

まずは内容証明文書によって、賃料の催告と賃貸借関係の解消を求める意思表示を行います。

ここで、話し合い・交渉の開始です。

(3)占有移転禁止の仮処分

話し合いで解決が出来ない場合、明け渡しの判決を得る前に、他の人に占有が移ってしまうと、判決が無意味になります。

そこで、占有移転禁止の仮処分を申し立てます。

占有移転禁止の仮処分は、判決までに賃借人が物件を他者に譲渡すること等を防ぐための保全手続です。

賃借人が多重債務などに陥っていた場合、いつのまにか行方不明になり、得体の知れない占有者がいるということがよくあり、占有者は物件の明け渡しを妨害するために、わざと占有をさらに第三者に移してしまうことがあり、そのため占有移転禁止の仮処分の手続きを済ませる必要があるのです。

(4)賃料請求・建物明け渡し訴訟
賃借人が話し合いや交渉に応じない、あるいはそもそも賃借人が行方不明などの場合は、裁判所に訴訟を起こします。

(5)強制執行

強制執行による明渡手続が完了すれば、すべて終了です。

勝訴判決を受けても、賃借人や占有者が開き直って任意に明渡さない、または賃借人が行方不明の場合などは、強制執行手続によって、強制的に明渡を行います。

このとき、賃料債権がある場合は、部屋にある動産(家具や貴重品等)を換価して債権に充当することが出来ます。

2 家賃滞納の場合の法的措置(強制執行編)

(1)必要なもの

強制執行の申立てを行うにあたっては、
① 債務名義
② 執行文
③ 送達証明書
が必要になります。

①「債務名義」とは、賃貸人の明渡請求権の存在を公証する文書のことをいい、債務名義になりうるものが民事執行法第22条に列挙されています。ここでは、「確定判決」、「仮執行宣言付きの判決」です。
②「執行文」とは、債務名義の執行力の範囲を公証するため、執行文付与機関が債務名義の正本の末尾に付記した公証文言のことをいいます。ここでいう執行文付与機関とは、判決が言い渡された裁判所の書記官のことをいいます。
③「送達証明書」とは、債務名義が相手方に送達されたことを証明する裁判所の書面のことです。法律上、強制執行を開始するためには、賃借人に債務名義が送達されなければならないと定められています(民事執行法第29条)。

ですので、この「送達証明証」が必要になります。

(2)強制執行の申立てと執行官との打ち合わせ

強制執行の申立ては、賃貸物件の所在地を管轄する地方裁判所の執行官に対して行います。

申立ての際には、執行官に対する予納金が必要になります。

予納金の額は、裁判所や相手方の人数によって変動しますが、相手方が1名の場合は、6万円から7万円程度となることが多いでしょう。

強制執行の申立てを行うと、執行官との打ち合わせが行われます。

裁判所によっては、執行官と直接会って打ち合わせが行われる場合もありますし、電話で打ち合わせが行われる場合もあります。

この際、「明渡しの催告」の日が決められ、利用する執行補助者をどの業者にするかを執行官に伝えることになります。

執行補助者とは、強制執行を行うにあたり、実際に荷物を搬出・保管する業者のことをいいます。

通常は、賃貸人側で利用する執行補助者をあらかじめ決めておきます。

もっとも、利用する執行補助者が決まっていない場合には、執行官が執行補助者を紹介してくれます。

この執行補助者に対する報酬は貸主が負担しますが、その報酬は、部屋の広さや荷物の量によっても異なりますが、約15万円程度から50万円程度になります。

できるだけ安い費用で請け負ってもらえる執行補助者を、事前に探しておくことが重要です。

 

 

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